インピーダンス
インピーダンスとは、交流回路での電流の流れにくさを表す物理量です。交流の場合は、電流を妨げるものとして抵抗の他、コンデンサとコイルが追加されます。
交流のオームの法則も、インピーダンスを使って、直流と同様に表すことができます。
$$V=ZJ$$
例えば、抵抗とコンデンサ($C$)とコイル($L$)が直列に並んでいる場合は、インピーダンスは以下で表されます。
$$Z=R+Z_c+Z_L$$$$=R+\frac{1}{i\omega C}+i\omega L$$
尚、インピーダンスは一般的に、実数部と虚数部に分かれます。実数部は抵抗($R$)ですが、虚数部はリアクタンス($X$)と呼ばれます。
$$Z\equiv R+iX$$
コンデンサとキャパシタンス
コンデンサとは、電気を蓄えたり、放電したりする電子分品です。直流の場合は、定常的に電流が流れることはありませんが、交流の場合は、充電と放電を繰り返すことにより、電流が流れます。
コンデンサに電気を蓄えられる電気量($Q$)と電圧の関係は以下で表すことができます。$C$ はキャパシタンス(電気容量)と呼ばれ、単位はファラッド($F$)です。1ファラッドのコンデンサに1ボルトの電圧をかけると、1クーロンの電気量を蓄えることができます。
$$Q=CV -①$$
コンデンサについてのオームの法則は以下で表されます。
$$V=\frac{1}{i\omega C}J=Z_cJ -②$$
②を導く
以下のような交流電圧を仮定し、
$$V=V_0 \cos{\omega t}=V_0e^{i\omega t}$$
①の両辺を時間微分すると、
$$J=\frac{dQ}{dt}=C\frac{dV}{dt}=i\omega CV$$
これにより②が得られます。
コイルとインダクタンス
コイルとは、導線をらせん状に巻いたもので、交流電流が流れると、電磁誘導により電流を抑制する抵抗の働きをします。
コイルに流れる電流($J$)とコイルの中を貫く磁束($\Phi$)の関係は以下で表されます。Lはインダクタンスと呼ばれ、単位はヘンリー($H$)です。1ヘンリーのコイルに1アンペアの電流を流すと、1ウェーバの磁束が発生します。
$$\Phi=LJ -③$$
コイルについてのオームの法則は以下で表されます。
$$V=i\omega LJ=Z_LJ -④$$
④を導く
以下のような交流電流を仮定し、
$$J=J_0 \cos{(\omega t-\theta)}=J_0e^{i(\omega t-\theta)}$$
③の両辺を時間微分すると、磁束の時間変化はコイルに働く起電力になるため、
$$V=\frac{d\Phi}{dt}=L\frac{dJ}{dt}=i\omega LJ$$
これにより④が得られます。
アドミタンス
アドミタンス($Y$)は、インピーダンスの逆数として定義され、伝導率を表します。アドミタンスの実数部はコンダクタンス($G$)、虚数部はサセプタンス($B$)と呼ばれます。
$$Y\equiv\frac{1}{Z}=G+iB$$$$G=\frac{R}{R^2+X^2}$$$$B=-\frac{X}{R^2+X^2}$$
インピーダンスとアドミタンスの合成は、抵抗の場合と同様に表されます。
接続 | インピーダンス | アドミタンス |
直列接続 | $Z=Z_1+Z_2$ | $$\frac{1}{Y}=\frac{1}{Y_1}+\frac{1}{Y_2}$$ |
並列接続 | $$\frac{1}{Z}=\frac{1}{Z_1}+\frac{1}{Z_2}$$ | $Y=Y_1+Y_2$ |