マクスウェル方程式とは

/電磁気・光学

マクスウェル方程式とは

マクスウェル方程式とは、古典的な電磁場を記述する基礎方程式で、1864年にマクスウェルにより提示されました。マクスウェル方程式は、4つの方程式(①~④)の組として表現されます。

ガウスの法則

1つ目は、電場と電荷の関係を表すガウスの法則です。${\bf D}$ は電束密度、$\rho$ は電荷密度です。

$$\nabla\cdot{\bf D}=\rho  -①$$

2つ目は、磁束の保存を表すガウスの法則です。${\bf B}$ は磁束密度です。

$$\nabla\cdot{\bf B}=0  -②$$

ガウスの法則とは
電場のガウスの法則、電場の閉曲面上での積分は閉曲面内の電荷に等しい、磁場のガウスの法則

ファラデーの法則

3つ目は、電磁誘導を表すファラデーの法則です。${\bf E}$ は電場の強さです。

$$\nabla\times{\bf E}=-\frac{\partial{\bf B}}{\partial t}  -③$$

ファラデーの電磁誘導の法則とは
閉回路に生じる誘導起電力の大きさは閉回路を貫く磁場の変化の割合に比例、レンツの法則

アンペールの法則

4つ目は、電流と磁場の関係を表すアンペールの法則です。${\bf H}$ は磁場の強さです。

$$\nabla\times{\bf H}=\frac{\partial{\bf D}}{\partial t}+{\bf J}  -④$$

アンペールの法則とは
電流とその周りの磁場との関係を表した法則、マクスウェル方程式、ストークスの定理、変位電流、ビオ・サバールの法則

電磁場の関係式

ここで、電場の強さと電束密度の関係は以下で表されます。$\epsilon_0$ は真空の誘電率、${\bf P}$ は物質中の電気分極です。

$${\bf D}=\epsilon{\bf E}=\epsilon_0{\bf E}+{\bf P}$$

また、磁場の強さと磁束密度の関係は以下で表されます。$\mu_0$ は真空の透磁率、${\bf M}$ は物質中の磁気分極です。

$${\bf B}=\mu{\bf H}=\mu_0{\bf H}+{\bf M}$$

さらに、電場と電流の間にはオームの法則が成り立ちます。$\sigma$ は伝導率です。

$${\bf J}=\sigma{\bf E}$$

電磁場とは
時空の各点に関連する物理量、電場の強さ、電束密度、磁場の強さ、磁束密度
物理量の単位と次元
力学系物理量の次元、電磁気学系物理量の次元、熱力学系物理量の次元、質量・長さ・時間・電流・温度の基本次元

真空中のマクスウェル方程式

真空中の場合、つまり電荷や電流が存在しない場合のマクスウェル方程式は以下になります。

$$\nabla\cdot{\bf E}=0$$$$\nabla\cdot{\bf H}=0$$$$\nabla\times{\bf E}=-\mu_0\frac{\partial{\bf H}}{\partial t}$$$$\nabla\times{\bf H}=\epsilon_0\frac{\partial{\bf E}}{\partial t}$$

電荷の保存則

電荷の保存則とは、ある閉領域内の電荷の変化は、その閉領域を出入りする電流の和に等しいとする法則です。電荷の保存則は、マクスウェル方程式より得られる重要な結果の1つで、以下で表されます。

$$\frac{\partial \rho}{\partial t}=\nabla\cdot J  -⑤$$

これは、④の両辺の分散($\nabla\cdot$)をとり、ベクトル公式($\nabla\cdot\nabla\times{\bf H}=0$)と①を使うことで得られます。

ポテンシャル

②よりベクトルポテンシャル ${\bf A}$ が存在し、

$${\bf B}=\nabla\times{\bf A}  -⑥$$

これを③に代入すると、

$$\nabla\times\Big({\bf E}+\frac{\partial{\bf A}}{\partial t}\Big)=0$$

これより、スカラーポテンシャル $\phi$ が存在することが分かります。

$${\bf E}+\frac{\partial{\bf A}}{\partial t}=-\nabla\phi  -⑦$$

ゲージ変換

ゲージ変換とは、電場 ${\bf E}$ と磁場 ${\bf B}$ を不変に保つ範囲でのポテンシャルの変換 $(\phi,{\bf A})\to(\phi’,{\bf A}’)$ で、

$$\nabla\times{\bf A}=\nabla\times{\bf A}’$$$$\frac{\partial{\bf A}}{\partial t}+\nabla\phi=\frac{\partial{\bf A}’}{\partial t}+\nabla\phi’$$

スカラー $u$ により以下のように表されます。

$$\phi=\phi’+\frac{\partial u}{\partial t}$$$${\bf A}={\bf A}’-\nabla u$$

ローレンツ条件

ローレンツ条件とは、適当に $u$ を選ぶことにより得られるポテンシャルです。

$$\epsilon\mu\frac{\partial\phi}{\partial t}+\nabla\cdot{\bf A}=0$$

ローレンツ条件を使って、⑥⑦を①に代入すると、

$$\nabla^2\phi-\epsilon\mu\frac{\partial^2\phi}{\partial t^2}=-\frac{\rho}{\epsilon}  -⑧$$

⑥⑦を④に代入すると以下が得られます。

$$\nabla^2{\bf A}-\epsilon\mu\frac{\partial^2{\bf A}}{\partial t^2}=-\mu{\bf J}  -⑨$$

これら⑥~⑨はローレンツ条件の下、マクスウェル方程式と等価になります。尚、ローレンツ条件をゲージ変換に対し不変に保つための $u$ の条件は以下で表されます。

$$\nabla^2u-\epsilon\mu\frac{\partial^2u}{\partial t^2}=0$$

 

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