エネルギー等配分則とは
エネルギー等配分則とは、系の持つ自由度ごとに一定量のエネルギーが配分されるという統計力学の法則です。系の内部エネルギーを $U$ 、粒子数を $N$ とすると、各分子の運動の自由度は3であるため、1自由度当りのエネルギー $u$ は以下で表されます。
$$u=\frac{U}{3N}=\frac{1}{2}k_BT -①$$
ここで、$k_B$はボルツマン係数($1.38\times10^{-23}J/K$)で以下で定義されます。
$$k_B=\frac{nR}{N}$$
エネルギー等配分則を導く
エネルギー等配分則は、ベルヌイの関係式、
$$pV=\frac{2}{3}U -②$$
と理想気体の状態方程式、
$$pV=nRT$$
より求めることができます。
尚、理想気体とは、圧力が温度と密度に比例し、内部エネルギーが密度に依らない想像上の気体で、状態方程式とは、圧力 $p$ 、体積 $V$ 、温度 $T$ など、熱力学の物理量の間に成り立つ関係式です。
$n$ は物質量(モル数)で、構成粒子数をアボガドロ数($6.02\times10^{23}mol^{-1}$)で割った数です。同一圧力、同一温度、同一体積のすべての種類の気体には同じ数の分子が含まれることが分かっており、これはアドガドロの法則と呼ばれています。
「$R$」は、気体定数($8.31JK^{-1}mol^{-1}$)の値を持ちます。
ベルヌイの関係式を導く
ベルヌイの関係式は、分子運動論的な観点から導くことができます。
微小面積 $\sigma$ の壁($yz$ 面)への分子の弾性衝突を考えます。このとき、分子 $K$ 個が壁に与える力積は、分子の質量 $m$ と平均速度 $\bar{v}_x$ から以下になります。
$$F\Delta t=2m\bar{v}_x\cdot K$$
単位時間当り($\Delta t$)に壁 $\sigma$ に衝突する分子は、微小体積($\Delta t\bar{v}_x\sigma$)内の分子に限ります。また、分子の密度は、分子の総数 $N$ と体積 $V$ から $N/V$ ですが、実際は速度の方向がプラス($\bar{v}_x>0$)の分子のみ衝突しますので、分子の密度は半分の $N/2V$ となります。従って、壁に衝突する分子数 $K$ は以下になります。
$$K=\Delta t\overline{v}_x\sigma\frac{N}{2V}$$
以上より、壁に与える圧力 $p$ は以下で表されます。
$$p=\frac{F}{\sigma}=\frac{Nm\overline{v}_x^2}{V} -③$$
全て分子の運動エネルギー $E$ は以下になります。このとき、等方的な気体($\overline{v}_x^2=\overline{v}_y^2=\overline{v}_z^2$)を仮定します。
$$E=\frac{1}{2}Nm(\overline{v}_x^2+\overline{v}_y^2+\overline{v}_z^2)=\frac{3}{2}Nm\overline{v}_x^2$$
ここで、全て分子の運動エネルギーを内部エネルギー $U$ と置き換えると、③より以下のベルヌイの関係式が求められます。
$$pV=\frac{2}{3}U -②$$