先物取引とは

/金融資産

先物取引とは、デリバティブ(金融派生商品)取引の一つで、ある商品を一定数量、予め決められた価格(約定価格)で将来の期日に受け渡すことを契約する取引きです。予め売買の価格を決めることができるので、価格変動リスクを回避できるという利点があります。

先物取引の特徴

先物取引の特徴は以下になります。

証拠金制度

先物取引は、取引金額に比べ少ない証拠金(担保金)で取引ができます。損失が発生し、証拠金に一定以上の不足が発生した場合は、追加の証拠金を入金する必要があります。証拠金は現金のほか、有価証券でも充当することができます。

買い/売りのどちらからでも取引を開始できる

証拠金で取引が行われるため、総取引金額を保有していなくても「買い」契約ができ、逆に現物を保有していなくても「売り」契約ができます。そのため、価格上昇が予想される場合は「買い」から、価格下落が予想される場合は「売り」から開始することができます。

差金決済(現金決済先物取引)

差金決済とは、将来の期日が到来する前に反対売買を行い、売買価格の差額を受け渡すことにより契約を終了させることです。「買い」契約の場合は転売、「売り」契約の場合は買戻しを行います。

受渡決済(現物先物取引)

受渡決済とは、決済期限が到来した際、現物と取引金額を受け渡すことで取引を終了させることです。「買い」契約の場合は現受け、「売り」契約の場合は現渡しと呼びます。

先物の理論価格

先物価格は、時間の経過とともに現物価格に連動し、決済期限日には現物価格に一致します。

$$\mbox{先物理論価格}=\mbox{現物価格}\times\Big(1+(\mbox{短期金利}-\mbox{配当利回})\times\frac{\mbox{決算期限までの日数}}{365}\Big)$$

先物価格と現物価格の差分は純持越費用(キャリーコスト)と言い、現物を保有するための資金調達コスト(短期金利)から保有収益(配当利回り)を差し引いたものです。

先物価格は、短期金利が配当利回りより大きい場合(ネガティブキャリー)、決済期限日が先になるほど価格が高くなり(順ざや)、短期金利が配当利回りより小さい場合(ポジティブキャリー)、決済期限日が先になるほど価格が低くなります(逆ざや)。

先物取引の利用方法

ヘッジ取引、スペキュレーション、アービトラージについて説明します。

ヘッジ取引

ヘッジ取引とは、現物取引で発生する損失を先物取引の利益で相殺し、価格変動のリスクを回避する取引きです。ヘッジ取引では現物の反対の売買を先物で行います。ヘッジ取引には、買いヘッジと売りヘッジがあります。

買いヘッジは、将来の価格上昇リスクを回避する方法です。将来のある時点で現物の購入を予定しているときに、その期間までの価格上昇リスクを回避したい場合や、現時点で購入した際に発生するに保管コストなどを回避したい場合に利用します。

売りヘッジは、将来の価格下落リスクを回避する方法です。将来のある時点で売却を予定しているときに、その期間までの価格下落リスクを回避したい場合や、保有する現物の価格下落リスクを回避したい場合に利用します。

スペキュレーション

スペキュレーション(投機取引)とは、将来の価格予測に基づいて先物を売買することにより利益を得ようとする取引です。

価格上昇を予想した場合は、先物を買い、予想通り値上がりしたら転売します。価格下落を予想した場合は、先物を売り、予想通り値下がりしたら買戻します。この売買の差額が利益になります。

アービトラージ

アービトラージ(裁定取引)とは、現物と先物の価格差を利用して利益を得ようとする取引です。価格差が一定以上乖離した場合、割高な方を売ると同時に割安な方を買います。その後、価格差が修正されたときに、それぞれ反対売買を行います。

先物が理論価格より高いときは「先物売り・現物買い」を行い、先物が理論価格より安いときは「先物買い・現物売り」を行います。前者を裁定買い、後者を裁定売りと言います。

 

FP
金融資産、年金・保険、税金、不動産、相続
散策路TOP
数学、応用数学、古典物理、量子力学、物性論、電子工学、IT、力学、電磁気学、熱・統計力学、連続体力学、解析学、代数学、幾何学、統計学、論理・基礎論、プラズマ物理、量子コンピュータ、情報・暗号、機械学習、金融・ゲーム理論

Wikipedia

 

タイトルとURLをコピーしました