投資信託
投資信託とは、多数の投資者から資金を集め、第三者である専門家が運用・管理する仕組みで、その運用成果は投資者の投資額に応じて分配される金融商品です。
メリット
投資信託は、投資家にとって、株式や債券に比べ少額の投資資金でも分散投資ができる、投資の資金は専門家により運用されるなどのメリットがあります。
-
- 少ない金額から購入できる
- 株式や債券などに分散投資できる
- 専門家により運用されている
リスク
投資信託は株式や債券などに投資するため、基準価額は株式市場などの動向により変動します。そのため、投資信託には元本の保証はなく、基準価額の変動要因には以下のものがあります。
-
- 株式や債券の価格変動リスク
- 外国通貨建ての資産の為替変動リスク
- 債券等を発行する国や企業の信用リスク
- 債券の金利変動リスク
投資の基本
投資信託のメリットとリスクを踏まえた投資の基本は以下になります。
- 資産の分散
資金を1つの金融資産にまとめて投資せず、株式と債券、複数の業種、国内と国外など様々な対象に分散して投資すればリスクは分散されます。 - 長期保有
市場は短期間では一時的な要因で大きく変動することがありますが、長期間でみると、この変動リスクが小さくなる傾向があります。 - 時間の分散
定期的に一定金額で投資信託を購入するドルコスト平均法を利用することで、一度に投資するよりも、購入価格を抑える効果が期待できます。
投資信託の運営
投資信託の運営は、委託者、受託者、販売会社などにより行われます。
役割 | 金融機関 | 機能 |
販売会社 | 証券会社・銀行 | 投資信託の募集と販売、目論見書・運用報告書の交付 |
委託者 | 投資信託運用会社 | 投資信託の設定、受託者への運用指図、目論見書・運用報告書の作成、分配金などの支払い |
受託者 | 信託銀行 | 運用会社からの指図に従って、株証券市場への投資、信託財産の保管・管理 |
尚、仮に投資信託の各機関が破綻しても、投資家が預けたお金は投資額に関わらず制度的に守られています。
- 販売会社が破綻した場合
信託財産に直接的な影響はありません。保有していた投資信託は、別の販売会社に移管され、移管先の販売会社で取引することが可能です。 - 運用会社が破綻した場合
信託財産に直接的な影響はありません。運用していた投資信託は、他の運用会社に運用が引き継がれるか、繰上償還されます。 - 信託銀行が破綻した場合
信託財産は信託銀行自身の財産とは区分して管理することが法律で義務づけられているため、信託財産に影響はありません。投資信託は、破綻時の基準価額で解約されるか、他の信託銀行に移管されそのまま保有することができます。
投資信託の種類
投資信託にはいくつかの分類方法があります。投資信託の形態について分類すると、
-
- 契約型
委託者と受託者の契約(投資信託契約)によって成立する投資信託 - 会社型
投資を目的とする法人を設立することによって組成される投資信託
- 契約型
購入できるタイミングで分類すると、
-
- 単位型
投資信託の設立時(当初募集期間)でのみ購入できる投資信託 - 追加型
投資信託が運用されている期間中いつでも購入できる投資信託。信託期間が無期限のものが多く、巨大な基金を持つ投資信託になる可能性があります。
- 単位型
購入者で分類すると、
-
- 公募型
多数の投資家に取得させることを目的とした投資信託 - 私募型
機関投資家など限られた投資家に取得させることを目的とした投資信託
- 公募型
解約(払い戻し)の可否で分類すると、
-
- オープンエンド型
運用期間中の解約が行える投資信託。基金の流出が少ないため、安定的に運用を行うことができます。 - クローズドエンド型
運用期間中の解約が行えない投資信託
- オープンエンド型
国内の多くの投資信託は、契約型・追加型・公募・オープンエンド型になります。
売買の実際
基準価格
基準価格とは、純資産総額を受益権口数で割ったものです。純資産総額とは、投資信託に組み込まれている株式や債券を時価で評価した資産総額から運用に必要な諸経費や未払い金などを差し引いて求めます。
$$\mbox{基準価格}=\frac{\mbox{純資産総額}}{\mbox{受益権口数}}=\frac{\mbox{資産総額}-\mbox{諸経費}-\mbox{未払い金}}{\mbox{受益権口数}}$$
基準価格は、投資信託の価格に当り、この基準価格に基づいて買付けや換金を行います。基準価格の価額は、1日に1回公表されます。
分配金
分配金とは、投資信託が株式や債券に対して投資し、運用して得た収益を、保有口数に応じて投資家に分配されるものです。
分配金は、投資信託の信託財産から支払われます。そのため、分配金が支払われると、資産総額は減少するため、基準価格は下がります。
解約価格
解約価格とは、解約請求により喚起する場合の価格です。原則として基準価格ですが、信託財産保留金を徴収するファンドもあります。
解約価格 = 基準価格 - 信託財産保留金
購入時手数料
購入時手数料は、投資信託を購入する際に必要な費用です。徴収方式は、手数料に消費税を加えた金額が販売価格の内枠で徴収されます。一般的には購入価格の ~3.5%程度ですが、ノーロードという投資信託は手数料がかかりません。
信託報酬
信託報酬は、信託財産(純資産総額)の運用管理を行うことに対する報酬です。公社債投資信託より株式投資信託のほうが高めで、国内の投資より海外の投資のほうが高めになります。
信託財産保留金
信託財産保留金は、投資信託を解約する投資家がいる場合に、投資信託を保有し続ける投資家が迷惑がかからないようにする費用です。解約する場合は、運用中の投資信託の中の資産を売却する必要があり、手数料などが発生し、運用効率が下がるためです。
信託財産保留金は全ての投資信託に設定されているわけではありませんが、長期に保有する投資家にとっては、信託財産保留金が設定されている投資信託のほうが有利になる場合があります。