量子フーリエ変換とは

/量子コンピュータ

量子フーリエ変換

量子フーリエ変換とは、信号処理で使われる離散フーリエ変換を量子回路上に実装したものです。

離散フーリエ変換は、離散的(単位時間毎)に N 回だけ物理量 xjj=0,1,,N1)を測定した場合、以下で表すことができます。

xj=1Nk=0N1Xke2πikj/N

量子フーリエ変換は、この離散フーリエ変換(xjXk)を用いて、以下の変換で定義されます。

j=0N1xj|j  k=0N1Xk|k

このとき、状態ベクトルは以下のように変換されます。

|j  1Nk=0N1e2πikj/N|k  

量子フーリエ変換を量子回路で実現するため、状態ベクトル |j を量子ビットで表す必要があります。N=2n とし、10進法である j を2進法で表すと、

j=j12n1+j22n2++jn20  

状態ベクトルは以下で置き替えます。

|j=|j1j2jn=|j1|j2|jn

n=4 の場合の変換

以下に、n=4N=24)として①を計算すると以下のようになります。

|j  124k=0241e2πikj/24|k=14(|0+e2πi(0.j4)|1)(|0+e2πi(0.j3j4)|1)(|0+e2πi(0.j2j3j4)|1)(|0+e2πi(0.j1j2j3j4)|1)  

③を導く

k を2進法に書き替えると、

|j  14k1=01k2=01k3=01k4=01e2πij(k123+k222+k321+k420)/24|k1k2k3k4

指数部分を分解し、それぞれ和を取ると、

=14k1=01e2πijk1/2|k1k2=01e2πijk2/22|k2k3=01e2πijk3/23|k3k4=01e2πijk4/24|k4

=14(|0+e2πij/2|1)(|0+e2πij/22|1)(|0+e2πij/23|1)(|0+e2πij/24|1)

ここで、各指数部分に②を代入すると、

e2πij/2=e2πi(j122+j22+j3+j4/2)=e2πi(j4/2)=e2πi(0.j4)

e2πij/22=e2πi(j12+j2+j3/2+j4/22)=e2πi(j3/2+j4/22)=e2πi(0.j3j4)

e2πij/23=e2πi(j1+j2/2+j3/22+j4/23)=e2πi(j2/2+j3/22+j4/23)=e2πi(0.j2j3j4)

e2πij/24=e2πi(j1/2+j2/22+j3/23+j4/24)=e2πi(0.j1j2j3j4)

これらより、③の結果が導かれます。

量子回路

量子フーリエ変換を実現する量子回路は以下になります。「H」はアダマールゲート、「Rm」は制御回転ゲートを表します。

アダマールゲートは、量子ビットに対し以下の変換を行います。

|012(|0+|1)

|112(|0|1)

制御回転ゲートは、制御ビットが |0 のときはそのまま通し、|1 のときは以下の変換を行います。

|0|0

|1e2πi/2m|1

最後のスワップゲートは、以下のような量子ビットの入れ替えを行います。

|j1|j2|j3|j4|j4|j3|j2|j1

n=4 の場合の動作

j1 ビットが各ゲートを通過(HR2R3R4)した場合を計算します。まず、アダマールゲートで変換すると、

|j1j2j3j4=12(|0+e2πi(0.j1)|1)|j2j3j4

R2 ゲートで変換すると、

=12(|0+e2πi(0.j1j2)|1)|j2j3j4

続けて R3,R4 で変換すると、

=12(|0+e2πi(0.j1j2j3j4)|1)|j2j3j4

j2 ビットが各ゲートを通過(HR2R3)した場合を計算すると同様に、

=12(|0+e2πi(0.j1j2j3j4)|1)12(|0+e2πi(0.j2j3j4)|1)|j3j4

従って j3 ビットと j4 ビットも計算すると以下になります。

=124(|0+e2πi(0.j1j2j3j4)|1)(|0+e2πi(0.j2j3j4)|1)(|0+e2πi(0.j3j4)|1)(|0+e2πi(0.j4)|1)

最後にスワップゲートで変換すると、j1j4j2j3 のビットが入れ替わるため、③が得られます。

=124(|0+e2πi(0.j4)|1)(|0+e2πi(0.j3j4)|1)(|0+e2πi(0.j2j3j4)|1)(|0+e2πi(0.j1j2j3j4)|1)

 

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