離散フーリエ変換とは
離散フーリエ変換とは、有限個の離散的な値に対するフーリエ変換です。以下、フーリエ級数の類推で、離散フーリエ変換の形を導きます。
区間を $[-L/2,L/2]$ とし、$k_n\equiv2\pi n/L$ とすると、フーリエ級数は以下で表されます。
$$f(x)=\sum_{n=-\infty}^\infty c_ne^{ik_nx} -①$$
$$c_n=\frac{1}{L}\int_{-L/2}^{L/2}e^{-ik_nx}f(x)dx -②$$
離散的(単位時間毎)に $N$ 回だけ物理量 $x_j$($j=0,1,\cdots,N-1$)を測定した場合、$L\to N$ の類推から、$N$ 個の物理量による周期関数と考えることができます。これより、①を、
$f(x)\to f_j , c_n\to F_k , x\to j$
$n\to k$($=0,1,\cdots,N-1$)
のように置き換えて、以下の式で表します。
$$f_j=\sum_{k=0}^{N-1}F_ke^{2\pi ikj/N} -③$$ |
$F_k$ は、②の積分を和に替えることで得られます。
$$F_k=\frac{1}{N}\sum_{j=0}^{N-1}f_je^{-2\pi ikj/N} -④$$ |
③と④が離散フーリエ変換ですが、定義は幾つかあり、以下で表される場合もあります。
$$f_j=\frac{1}{\sqrt{N}}\sum_{k=0}^{N-1}F_ke^{2\pi ikj/N}$$
$$F_k=\frac{1}{\sqrt{N}}\sum_{j=0}^{N-1}f_je^{-2\pi ikj/N}$$
離散フーリエ変換の性質
線形性
2つの関数 $f_j$、$g_j$ に対して以下の式が成り立つ場合、
$$h_j=af_j+bg_j$$
離散フーリエ変換した関数 $F_k$、$G_k$ に対しても以下の式が成り立ちます。
$$H_k=aF_k+bG_k$$
対称性
関数 $f_j$ を離散フーリエ変換した関数 $F_j$ とすると、複素共役について以下の対応関係が成り立ちます。
$$f_j^* \leftrightarrow F_{-k}^*$$$$f_{-j}^* \leftrightarrow F_k^*$$