2流体プラズマとは、プラスのイオン(以下、イオン)と電子の2種の粒子から構成されるプラズマです。2流体プラズマは、以下の一連の方程式により記述されます。
電磁場の方程式
イオン(添字 $i$)と電子(添字 $e$)から構成されるため、電荷密度 $\rho$ と電流 ${\bf J}$ は以下で求められます。ここで、$n$ は粒子密度、$q$ は電荷、$v$ は速度を表します。
$$\rho=n_iq_i+n_eq_e$$$${\bf J}=n_iq_i{\bf v}_i+n_eq_e{\bf v}_e$$
これらを使うと、4組のマックスウェル方程式は以下で表されます。
$$\epsilon\nabla\cdot{\bf E}=n_iq_i+n_eq_e$$$$\nabla\cdot{\bf B}=0$$$$\nabla\times{\bf E}=-\frac{\partial{\bf B}}{\partial t}$$$$\nabla\times{\bf B}=\frac{1}{c^2}\frac{\partial{\bf E}}{\partial t}+\mu(n_iq_i{\bf v}_i+n_eq_e{\bf v}_e)$$
連続の方程式
連続の方程式は、閉曲面内の粒子密度の変化は、曲面上を出入りする粒子密度に等しいこと(質量の保存則)を表す方程式で、イオンと電子の双方で成り立ちます。
$$\frac{\partial n_i}{\partial t}+\nabla\cdot(n_i{\bf v}_i)=0$$$$\frac{\partial n_e}{\partial t}+\nabla\cdot(n_e{\bf v}_e)=0$$
流体の運動方程式
流体の運動方程式は、流体に働く力と流体の運動を表す方程式で、流体力学ではナビエ・ストークス方程式と呼ばれています。これもイオンと電子の双方で成り立ちます。
$$m_in_i\Big(\frac{\partial{\bf v}_i}{\partial t}+({\bf v}_i\cdot\nabla){\bf v}_i\Big)=n_iq_i({\bf E}+{\bf v}_i\times{\bf B})-\nabla p_i$$$$m_en_e\Big(\frac{\partial{\bf v}_e}{\partial t}+({\bf v}_e\cdot\nabla){\bf v}_e\Big)=n_eq_e({\bf E}+{\bf v}_e\times{\bf B})-\nabla p_e$$
右辺第1項はローレンツ力、第2項は粒子間の衝突による力(圧力 $p$)を表します。
状態方程式
状態方程式は、圧力と粒子密度の関係を表す方程式です。熱力学のポアソンの状態方程式は、
$$pV^\gamma=\mathrm{const.}$$$$\gamma\equiv\frac{C_p}{C_V}$$
ここで、粒子密度と体積の積が一定とすれば、定数 $C$ で以下のように表すことができます。
$$p=C\rho^\gamma$$
これもイオンと電子の双方で成り立ちます。
$$p_i=C(m_in_i)^{\gamma_i}$$$$p_e=C(m_en_e)^{\gamma_e}$$