ポグソンの式
ポグソンの式とは、天体の見かけの明るさ(光度)と等級との関係を表す式です。ポグソンの式は天体の明るさと等級の関係を表す関係式ですが、いくつかの仮定に基づいています。
- 等級が小さいほど明るい天体とする。2つの天体の明るさの”比”が等しい場合、等級の”差”は等しいとする。
- 人の肉眼で見える最も暗い等級を6等とし、1等は6等の100倍の明るさとする。
2つの天体の明るさを $l_1$ と $l_2$($l_1\gt l_2$)、等級を $m_1$ と $m_2$とすると、ポグソンの式は以下で表されます。これにより、1等級の差は、明るさの比で約2.51倍($=10^{2/5}$)となります。
$$m_1-m_2=-\frac{5}{2}\log{\frac{l_1}{l_2}} -①$$
尚、明るさ(光度、luminosity)とは、星などの天体から単位時間、単位面積に放射されるエネルギーと定義されます($Js^{-1}m^{-2}$)。見かけの明るさは、距離が遠くなるほど暗くなるため、明るさ $l$ と距離 $r$ との関係は以下になります。
$$l\propto\frac{1}{4\pi r^2} -②$$
ポグソンの式の導出
仮定1より、明るさの比が等級の差に等しいため、$\alpha$ を比例定数とすると、
$$m_1-m_2=\alpha\log{\frac{l_1}{l_2}}$$
1等は6等の100倍の明るさであるため、$m_1-m_2=-5$ と $l_1/l_2=100$ を代入すると、$\alpha=-5/2$ が得られます。
絶対等級と距離指数
絶対等級とは、地球から10パーセク(32.6光年)の距離に天体があるとした場合の等級です。例えば、太陽の地球から見た等級は ー26.7等ですが、絶対等級は4.8等になります。
天体の距離を $r$ 、等級を $m$ 、10パーセクを $R$ とすると、絶対等級 $M$ は以下の関係で表されます。この式は、明るさと距離の関係を②として、①に代入すると得られます。
$$m-M=5\log{\frac{r}{R}}$$
尚、$m-M$ という量は、天体の距離 $r$ を間接的に表しているので、距離指数と呼ばれています。