自然単位系
自然単位系とは、普遍的な物理定数に基づいて定義された単位系で、特定の物理定数を1(無次元)とおき、その物理定数を基本単位として、他の物理量の単位が構築されています。
自然単位系は複数構築することができますが、以下は光速度 $c$ とディラック定数(プランク定数)$\hbar$ を1とおいた自然単位系について述べます。
質量の次元を $M$、長さの次元を $L$、時間の次元を $T$ で表すと、光速度とディラックの定数の次元は以下になり、これを1とおくと、
$$c \sim \frac{L}{T} \to 1$$$$\hbar \sim \frac{ML^2}{T} \to 1$$
これにより長さと時間の次元は、質量の次元の逆数になります。
$$L=T=\frac{1}{M}$$
さらに、クーロン力定数($\epsilon_0$:真空の誘電率)を1とおくと、
$$\frac{1}{4\pi\epsilon_0} \sim \frac{ML^3}{T^4I^2} \to 1$$
これにより電流の次元は質量と同じ次元になります。
$$I=M$$
この単位系の特徴は、角運動量と電荷が無次元となります。
物理量の次元
自然単位系を使うと、力学系の物理量の次元は以下になります。
物理量 | SI単位系での次元 | 自然単位系での次元 |
質量 | $M$ | $M$ |
長さ | $L$ | $M^{-1}$ |
時間 | $T$ | $M^{-1}$ |
速度 | $LT^{-1}$ | 1 |
運動量 | $MLT^{-1}$ | $M$ |
角運動量 | $ML^2T^{-1}$ | 1 |
力 | $MLT^{-2}$ | $M^2$ |
エネルギー | $ML^2T^{-2}$ | $M$ |
作用 | $ML^2T^{-1}$ | 1 |
重力定数 | $M^{-1}L^3T^{-2}$ | $M^{-2}$ |
自然単位系を使うと、電磁気学系の物理量の次元は以下になります。
物理量 | SI単位系での次元 | 自然単位系での次元 |
電流 | $I$ | $M$ |
電荷 | $TI$ | 1 |
誘電率 | $M^{-1}L^{-3}T^4I^2$ | 1 |
透磁率 | $MLT^{-2}I^{-2}$ | 1 |
電場の強さ $E$ | $MLT^{-3}I^{-1}$ | $M^2$ |
磁場の強さ $H$ | $L^{-1}I$ | $M^2$ |
電束密度 $D$ | $L^{-2}TI$ | $M^2$ |
磁束密度 $B$ | $MT^{-2}I^{-1}$ | $M^2$ |
物理量の単位と次元
力学系物理量の次元、電磁気学系物理量の次元、熱力学系物理量の次元、質量・長さ・時間・電流・温度の基本次元
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