相続時精算課税制度とは

/不動産・相続

概要

相続時精算課税制度とは、生前の贈与による資産移転を円滑にする目的として、2003年に創設された制度です。

相続時精算課税制度では、納税者の選択により、暦年単位による贈与税の課税方式に代えて、贈与時には本制度による贈与税額を納付し、その後の相続時には、本制度を適用した受贈財産と相続により取得した財産の合計額を課税対象として計算します。

贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までの贈与税の申告期間内に、贈与税の申告と一緒に「相続時精算課税選択届出書」の届け出が必要です。

適用対象者

贈与者(特定贈与者)の条件は、贈与した年の1月1日において、原則として60歳以上の父母または祖父母などです。

受贈者(相続時精算課税制度)の条件は、贈与者の直系卑属(子や孫)である推定相続人または孫のうち、贈与を受けた年の1月1日において18歳以上である者です。

この制度は贈与者ごとに選択できますが、一度選択すると、それ以降にその贈与者から贈与を受ける財産については、全てすべてこの制度が適用され、暦年贈与との併用は不可となります。

適用対象財産

贈与財産の種類(贈与によって取得したとみなされる財産を含む)、贈与財産の価額、贈与の回数に制限はありません。

税額の計算

贈与税の計算

相続時精算課税制度を適用した場合の贈与税の計算は以下になります。課税価額は、特定贈与者ごとに、その年中に贈与で取得した財産の価額を合計します。

課税価額 =「1年間の贈与額-年間110万円」の累計 - 2,500万円の特別控除

贈与税額 = 課税価額 × 税率(20%)

尚、特別控除について、既に適用した金額がある場合には、その金額を差し引いた残額になります。

相続税の計算

相続時精算課税制度適用者が、特定贈与者の相続に際し、相続または遺贈により財産を取得した場合は、相続時精算課税制度の適用を受けた財産を相続税の課税価額に加算します。

相続時精算課税制度の適用を受けた財産に課せられた贈与税相当額については、相続税額から控除します。尚、相続税額から控除しきれない贈与税相当額については、還付を受けることができます。

具体例

例1

母親から5年に分けて毎年600万円ずつ計3,000万円を贈与され、その後相続された資産が4,000万円の場合、相続時精算課税制度を利用すれば、以下より贈与税は発生しません。

(600万円-110万円)×5年=2,450万円 < 2,500万円
贈与税額 = 0円

相続時の相続財産 = 4,000万円 + 2,450万円

この制度を利用して贈与の際は非課税となっても、将来相続する額によっては、相続税が発生するという点に留意が必要です。

例2

母親から5年に分けて毎年700万円ずつ計3,500万円を贈与され、その後相続された資産が4,000万円の場合、相続時精算課税制度を利用すれば、以下より贈与税は90万円になります。

(700万円-110万円)×5年=2,950万円 > 2,500万円
贈与税額 =(2,950万円-2,500万円)× 20% = 90万円

相続時の相続財産 = 4,000万円 + 2,950万円

この場合、支払った贈与税90万円が、相続税が発生した場合にその額から控除されます。

 

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