建築基準法とは

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建築基準法

建築基準法とは、建築物の敷地、構造、設備および用途に関する最低基準を定めた法律で、国民の生命と健康および財産の保護を図り、公共の福祉を増進することを目的としています。併せて、建築前に経るべき手続き(建築確認、検査等)が定められています。

単体規定と集団規定

建築基準法の規制には、単体規定と集団規定があります。

単体規定 主として建築物の安全、防火、衛生の見地からの技術的規定 ・構造(地震等による倒壊の防止)
・防火、避難(火災からの人命の確保)
・一般構造、設備(衛生・安全の確保)
集団規定 良好な集団的建築環境の確保に関する規定 ・接道規制(避難・消防等の経路確保)
・用途規制(土地利用の混乱の防止)
・形態規制(市街地の環境の維持)

単体規定は集団規定は国内すべての区域で適用されますが、都市計画区域および準都市計画区域のみで適用されます。

適用除外

建築基準法の規定は、文化財保護法によって国宝・重要文化財等に指定された建築物や、既存不適格建築物は適用除外とされます。

既存不適格建築物とは、現行の建築基準法には抵触しているが、建築基準法が施行された時点で既に存在していた建築物です。但し、将来建て替えるときは、建築基準法に適合させる必要があります。

用途地域

用途地域とは、良好な市街地環境の形成や都市における住居・商業・工業などの適正な配置を目的として、都市計画で定められた13種類の地域地区です。建築基準法では、用途地域ごとに建築可能な用途が定められています。

第一種低層住居専用地域 低層住宅のための地域。小規模な店や事務所をかねた住宅、小中学校などが建てられます。
第二種低層住居専用地域 主に低層住宅のための地域。小中学校などのほか、150㎡までの一定の店などが建てられます。
第一種中高層住居専用地域 中高層住宅のための地域。病院、大学、500㎡までの一定の店などが建てられます。
第二種中高層住居専用地域 主に中高層住宅のための地域。病院、大学などのほか、1500㎡までの一定の店や事務所など必要な利便施設が建てられます。
第一種住居地域 住居の環境を守るための地域。3000㎡までの店舗、事務所、ホテルなどは建てられます。
第二種住居地域 主に住居の環境を守るための地域。店舗、事務所、ホテル、カラオケボックスなどは建てられます。
準住居地域 道路の沿道において、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域。
田園住居地域 農業と調和した低層住宅の環境を守るための地域です。住宅に加え、農産物の直売所などが建てられます。
近隣商業地域 まわりの住民が日用品の買い物などをするための地域。住宅や店舗の他に小規模な工場も建てられます
商業地域 銀行、映画館、飲食店、百貨店などが集まる地域。住宅や小規模の工場も建てられます。
準工業地域 主に軽工業の工場やサービス施設等が立地する地域。危険性、環境悪化が大きい工場のほかは、ほとんど建てられます。
工業地域 どんな工場でも建てられる地域。住宅や店は建てられるが、学校、病院、ホテル等は建てられません。
工業専用地域 工場のための地域。どんな工場も建てられるが、住宅、店、学校、病院、ホテル等は建てられません。

具体的な用途規制は以下になります。尚、建築物の敷地が異なる用途地域を跨ぐ場合は、敷地の過半が属する用途地域の規制が適用されます。

用途区域
住宅、寄宿舎
図書館、老人ホーム
×
幼稚園、小学校、中学校、高等学校
大学、高等専門学校 × × × ×
神社、寺院、教会
保育所、公衆浴場、診療所
病院 × × × × ×
店舗・事務所
風俗営業 × × × × ×
ホテル・旅館
× × × × × × ×
レジャー施設 × × × × × ×
倉庫 × × × × × × ×
工場 × × × ×

道路関係

建築物の敷地は、建築基準法上の道路に間口2m以上で接する必要があると規定(接道義務)されています。接道義務を満たしていない土地には建築物を建築できません。

例外として、建物の周囲に広い空き地があるなど、安全上支障がないと認められる場合、間口2mの接道義務を満たさなくても建築ができます。一方、地方公共団体が条例により、接道義務の条件を厳しく設定(2m超)することもできます。

建築基準法上の道路

建築基準法上の道路とは、接道義務の対象となる道路で、以下のものを指します。

  1. 幅員4m以上(特定行政庁が認めた場合は6m以上)で、道路法、建築基準法、土地区画整理法などによる道路。一定の技術的基準に適合する私道で、位置指定道路も含まれます。
  2. 法が適用された際に既に存在していた幅員4m(または6m)未満の道路(42条2項道路)で、道路中心線から距離2m(または3m)の道路境界線の内側。

42条2項道路の場合、道路境界線の内側には、建築基準法上、建築物の敷地として使用することができません。これはセットバック(道路後退)と呼ばれています。

建蔽率

建蔽率とは、建築物の建築面積の敷地面積に対する割合です。建築面積とは、建築物の外壁または柱の中心線で囲まれた内側の部分の水平投影面積です。建蔽率の目的は、居住の快適性などの理由で、空き地面積をコントロールすることです。

$$\mbox{建蔽率(%)}=\frac{\mbox{建築物の建築面積}}{\mbox{敷地面積}}\times100$$

建蔽率の最高限度は、用途地域ごとに異なり、都市計画で定められています。建築物を建築する場合、建築面積は以下で計算された建築面積の最高限度以下である必要があります。

$$\mbox{建築面積の最高限度}=\mbox{敷地面積}\times\mbox{建蔽率の最高限度}$$

容積率

容積率とは、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合です。延べ面積とは、建物の各階の床面積の合計です。容積率の目的は、前面道路の幅員などの理由で、建築物に収容可能な人員数をコントロールすることです。

$$\mbox{容積率(%)}=\frac{\mbox{建築物の延べ面積}}{\mbox{敷地面積}}\times100$$

容積率は、用途地域ごとに異なり、都市計画で定められています。建築物を建築する場合、建物の延べ面積は以下で計算された延べ面積の最高限度以下である必要があります。

$$\mbox{延べ面積の最高限度}=\mbox{敷地面積}\times\mbox{容積率}$$

防火地域

都市計画において、火災などの災害に対して安全な街をつくるため、市街地に防火地域または準防火地域を定めることができます。これらの地域では、建築物の構造について以下のような規制が行われます。

項目 防火地域 準防火地域
耐火建築物(鉄筋コンクリート) 3階以上(地階含む)、または、100㎡超の建築物 4階以上(地階除く)、または、1,500㎡超の建築物
耐火建築物または準耐火建築物(鉄骨造) 2階以下で、かつ、延べ面積が100㎡以下の建築物 延べ面積が500㎡超、1,500㎡以下の建築物
耐火建築物・準耐火建築物または防火上必須な技術的基準に適合する建築物 原則として木造建築は求めない 3階の建築物(地階は除く)

高さ制限(斜線制限)

斜線制限とは、市街地における採光、通風等を確保するため、道路境界線や隣地境界線からの距離や真北方向への距離に応じて高さを制限したものです。

絶対高さ制限 低層住宅における良好な住居の環境を保護するため、都市計画において10mまたは12mの高さ制限を定める。
道路斜線制限 市街地における重要な開放空間である道路などにおける日照・採光・通風等の確保を目的とする制限。建築物を道路からセットバックさせた場合、その後退距離だけ前面道路の反対側に道路境界線を移動させたものとして緩和される。
隣地斜線制限 建築物の高層化により悪化の可能性のある日照・採光・通風等ついて、隣接する敷地での確保を目的とする制限。建築物を隣地からセットバックさせた場合、その後退距離だけ隣地側に隣地境界線を移動させたものとして緩和される。
北側斜線制限 特に日照・採光等に影響の大きい北側部分に対する制限。建築物の各部分は、真北方向の敷地境界線または道路の反対側境界線から、一定高さを起点として一定勾配の斜線の高さ以下とすることを定める。
天空率 斜線制限により確保される採光・通風等と同程度以上の採光通風等が確保されていることが天空図で確かめられた場合に、斜線制限が適用除外とされる。

日影制限

日影制限では、指定された区域内において、冬至日を基準にして、一定時間以上の日影が生じないよう建築物の高さが制限されてます。日影制限の対象となる区域は、気候や土地の利用状況などにより地方公共団体の条例で指定されます。

適用地区 適用建築物
第一種低層住居専用地域
第二種低層住居専用地域
田園住居地域
3階以上(地階を除く)、または、軒の高さが7mを超える建築物
上記以外の区域 高さが10mを超える建築物
用途地域の指定のない地域 ・3階以上(地階を除く)、または、軒の高さが7mを超える建築物
・高さが10mを超える建築物

 

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