開弦の交換関係

/弦理論

演算子の交換関係

点粒子の場合の独立な力学変数は以下のように選ばれるため、

(xI,x0,pI,p+)

これからの類推で、ハイゼンベルグ演算子の組をそれぞれ以下のように選びます。尚、添え字の I は横方向の成分を表します。

(XI(τ,σ),x0(τ),PτI(τ,σ),p+(τ))

また、弦座標 XI(τ,σ) と運動量密度 PτI(τ,σ) の関係を表す弦の運動方程式は以下になります。

Pτμ=12παX˙μ  Pσμ=12παXμ  

弦の異なる点は互いに干渉しないとし、以下のような交換関係を仮定します。

[XI(τ,σ),PτJ(τ,σ)]iηIJδ(σσ)  

[x0(τ),p+(τ)]=i

ηIJ=(111)

それ以外の交換関係は基本的に0になります。

[XI(τ,σ),XJ(τ,σ)]=[PτI(τ,σ),PτJ(τ,σ)]=0  [x0(τ),XI(τ,σ)]=[x0(τ),PτI(τ,σ)]=0[p+(τ),XI(τ,σ)]=[p+(τ),PτI(τ,σ)]=0

④左辺の XIXJσσ で微分し、①を使うと以下が得られます。

[XI(τ,σ),XJ(τ,σ)]=[X˙I(τ,σ),X˙J(τ,σ)]=0  

このとき、以下の交換関係が成り立ちます。

[(X˙I±XI)(τ,σ),(X˙J±XJ)(τ,σ)]=±4παiηIJddσδ(σσ)  [(X˙I±XI)(τ,σ),(X˙JXJ)(τ,σ)]=0  

⑥を導く

①を③に代入すると、

[XI(τ,σ),X˙J(τ,σ)]=2παiηIJδ(σσ)  (1)

両辺を σ で微分すると、

[XI(τ,σ),X˙J(τ,σ)]=2παiηIJddσδ(σσ)  (2)

負号が “+” の場合の⑥の左辺を計算すると、

[(X˙I+XI)(τ,σ),(X˙J+XJ)(τ,σ)]=[X˙I(τ,σ),X˙J(τ,σ)]+[X˙I(τ,σ),XJ(τ,σ)]+[XI(τ,σ),X˙J(τ,σ)]+[XI(τ,σ),XJ(τ,σ)]

この第1項と第4項は、⑤より0になります。第2項については、ηIJ=ηJIδ(x)=δ(x) に留意すると、

[XJ(τ,σ),X˙I(τ,σ)]=2παiηJIddσδ(σσ)=2παiηIJddσδ(σσ)=2παiηIJddσδ(σσ)

第3項は(2)にるため、これらを代入すると⑥の右辺の符号が “+” の場合が得られます。

[(X˙I+XI)(τ,σ),(X˙J+XJ)(τ,σ)]=4παiηIJddσδ(σσ)

一方、負号が “” の場合の⑥の左辺を同様に計算すると、

[(X˙IXI)(τ,σ),(X˙JXJ)(τ,σ)]=[X˙I(τ,σ),X˙J(τ,σ)][X˙I(τ,σ),XJ(τ,σ)][XI(τ,σ),X˙J(τ,σ)]+[XI(τ,σ),XJ(τ,σ)]=4παiηIJddσδ(σσ)

振動モードの交換関係

弦のモード展開は以下で表されます。

XI(τ,σ)=x0I+2αα0Iτ+i2αn0αnIneinτcosnσ  α0I2αpI  

光円錐座標の場合は、σ[0,π] で以下の関係が成り立ちます。

(X˙I+XI)(τ,σ)=2αnZαnIein(τ+σ)  (X˙IXI)(τ,σ)=2αnZαnIein(τσ)  

このとき、振動モードの交換関係は以下になります。(⑪の導出⑫の導出

[αmI,αnJ]=mηIJδm+n,0  [x0I,αnJ]=2αiηIJδn,0  

また、n=0 の場合、⑨により⑫は次のように書き替えられます。

[x0I,pJ]=iηIJ  

エルミート性

量子力学と同様に、座標と運動量の演算子はエルミート性を持ちます。

(x0I)=x0I(pI)=pI

また、振動モードの定義より、以下の関係が成り立ちます。

(αnI)=αnI

⑪を導く

⑥に⑩を代入すると、

m,nZeim(τ+σ)ein(τ+σ)[αmI,αnJ]=2πiηIJddσδ(σσ)

両辺に次の積分を行うと、

12π02πdσeimσ12π02πdσeinσ

左辺については、m=mn=n 以外は0になるので、

()=ei(m+n)τ[αmI,αnJ]  (3)

右辺については、以下に留意すると、

02πdσeinσδ(σσ)=einσ

以下になります。

()=12π02πdσeimσiηIJddσeinσ=nηIJ12π02πdσei(m+n)σ=nηIJδm+n,0  (4)

(3)と(4)より、

ei(m+n)τ[αmI,αnJ]=nηIJδm+n,0

n=m の場合は、

[αmI,αmJ]=mηIJ

右辺は nm のは場合は、

ei(m+n)τ[αmI,αnJ]=0

となるため、いずれも⑪が成り立つことが分かります。

⑫を導く

(1)の両辺を σ[0,π] で積分し、⑧を代入すると、

2παiηIJ0πdσδ(σσ)=0πdσ[XI(σ),X˙J(σ)]

左辺の XI(σ) の三角関数の項は消え、右辺のデルタ関数の積分は1になるため、

2αiηIJ=[x0I+2αα0Iτ,X˙J(σ)]  (5)

ここで、⑪と⑧より、

[α0I,α0J]=[α0I,αnJ]=0X˙J(σ)=2αα0J+2αn0αnJeinτcosnσ

これらを使うと(5)は、

2αiηIJ=12α[x0I,X˙J(σ)]=[x0I,α0J]+n0[x0I,αnJ]einτcosnσ=[x0I,α0J]+n=1[x0I,αnJeinτ+αnJeinτ]cosnσ  (6)

これを 1π0πdσcosnσ で積分すると、定数項である左辺と右辺第1項は0になり、右辺第2項は、

1π0πdσcosnσcosnσ=12δnn

に留意すると、

0=[x0I,αnJeinτ+αnJeinτ]=[x0I,αnJ]einτ+[x0I,αnJ]einτ

これより、n0 の場合、上式が成り立つ条件は以下であるため、⑫を満たすことが分かります。

[x0I,αnJ]=[x0I,αnJ]=0  (7)

また、n=0 の場合は、(6)より、

2αiηIJ=[x0I,α0J]+n=1[x0I,αnJeinτ+αnJeinτ]cosnσ=[x0I,α0J]+n=1([x0I,αnJ]einτ+[x0I,αnJ]einτ)cosnσ

右辺の第2項は(7)より0になるため、⑫を満たすことが分かります。

2αiηIJ=[x0I,α0J]

消滅演算子と生成演算子

古典変数での振動モードと展開係数の関係( n1

αnμ=anμn  ,  αnμ=anμn

より、量子論へにおいては、エルミート共役な消滅演算子 anI と生成演算子 anI を以下のように定義します( n1 )。

αnI=anIn  ,  αnI=anIn  

このとき、これは以下の交換関係が成り立ちます。

[amI,anJ]=[amI,anJ]=0  [amI,anJ]=δm,nηIJ  

⑮⑯を導く

⑪より、

[αmI,αnJ]=mηIJδm+n,0=mηIJδm,n

従って、

[αmI,αnJ]=mηIJδm,n

mn が異なる符号の場合、右辺は0になり、左辺の演算子は同じ符号となるため、⑮が得られます。

[amI,anJ]=0

一方、mn が正の符号の場合は、⑭を代入すると以下になります。

[mamI,nanJ]=mηIJδm,n

右辺は m=n 以外は0になるため⑯が得られます。

 

閉弦の交換関係
量子閉弦、演算子の交換関係、演算子のエルミート性、弦のモード展開、振動モードの交換関係、消滅演算子と生成演算子
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