ジーンズ不安定とは
ジーンズ不安定とは、星間ガスなどの気体が、その内部圧力(気圧)よりも重力が強くなり、重力収縮を起こしてしまうことです。
そのときの、半径をジーンズ半径(臨界半径)、質量をジーンズ質量(臨界質量)と呼びます。ジーンズ半径よりも大きなスケールは不安定で重力収縮し、小さなスケールは安定であると考えます。
一様な密度 $\rho$ 、圧力 $p$ をもつ半径 $r$ の星間ガスを考えます。半径 $r$ の単位体積に働く重力 $F_g$ は以下になり、
$$F_g=\frac{GM\rho}{r^2} -①$$
静水圧による圧力勾配力(圧力差)$F_p$ は以下で表されます。
$$F_p\cong p/r -②$$
このとき、$|\delta F_g|\gt|\delta F_p|$ となる条件であるジーンズ半径 $R_J$ とジーンズ質量 $M_J$ は以下で表されます。
$$R_J=\frac{3\sqrt{2}}{4}\sqrt{\frac{c_s^2}{\pi G\rho}} -③$$$$M_J=\frac{9\sqrt{2}}{8}\sqrt{\frac{c_s^6}{\pi G^3\rho}} -④$$
ここで、$c_s$ は音速で以下で定義されます。
$$c_s\equiv\sqrt{\frac{\gamma p}{\rho}}$$
ジーンズ半径を導く
密度 $\rho$ 、半径 $r$ のガス球体の全質量
$$M=\frac{4\pi}{3}\rho r^3 -(1)$$
は一定であり、微小変位は0となるため、
$$\delta M=\frac{4\pi}{3}\Big(3r^2\rho\delta r+r^3\delta\rho\Big)=0$$$$\delta\rho=-\frac{3\rho}{r}\delta r -(2)$$
比熱を $\gamma$ での気体の状態方程式
$$p=C\rho^\gamma$$
の両辺の微小変位を取ると以下になります。
$$\delta p=\frac{\gamma p}{\rho}\delta\rho -(3)$$
次に①の微小変位をとり、(1)を使うと、
$$\delta F_g=-\frac{2G\rho}{r^3}\delta r=-\frac{8\pi G\rho^2}{3}\delta r -(4)$$
②の両辺の微小変位をとり、(3)と(2)を使うと、
$$\delta F_p=\frac{\delta p}{r}=-\frac{3\gamma p}{r^2}\delta r$$$$=-\frac{3\rho c_s^2}{r^2}\delta r -(5)$$
これらより、$|\delta F_g|\gt|\delta F_p|$ となる半径 $R_J$ を求めると③が導かれます。また、ジーンズ質量は、ジーンズ半径を(1)に代入すると得られます。