コスト管理とは

/マネジメント

費用管理

コスト管理(費用管理)とは、プロジェクトで発生するコストを把握し、計画で定められたコストでプロジェクトの目的を達成するための活動です。コスト管理は、コスト計画・実績評価・超過コスト対策などから構成されます。

ソフトウェア開発においては、コストのほとんどが人件費であるため、コスト管理 ≒ 工数管理になることが多く、コスト削減 ≒ 工数削減 ≒ 生産性向上と考えることもできます。

コスト管理のための具体的な方法には以下があります。

  • 予算管理
    予算を設定し、実際の費用と比較することで、コストの発生状況を把握します。そして、必要に応じて修正を加えます。
  • 原価計算
    製品やサービスの原価を分析することで、コスト発生源を特定し、コスト削減が必要な箇所を特定します。
  • 活動基準原価計算(ABC分析)
    各活動に発生するコストを分析することで、無駄なコストを特定し、効率化を図る手法です。従来の原価計算に比べ、より詳細なコスト構造を把握することができます。
  • バリューチェーン分析
    サプライチェーン・製造・販売など、企業の事業活動のプロセス全体を分析し、各プロセスにおけるコスト発生源を分析します。

コスト計画

計画策定の手順

コスト計画の策定は以下の手順で行います。

  1. WBS(作業分割構造図)の作成
  2. 作業順序の設定、作業量の見積り、要員の配置
  3. 開発規模及び工数の見積り
  4. プロジェクト原価の見積り

コスト計画書は、上記の策定手順によってまとめられ、月別原価計画書の他、プロジェクトの前提条件や制約条件なども記載されます。コスト計画書を作成する上での留意点は以下になります。

見積り手法

ソフトウェアの開発工数の見積りの代表的な手法は以下になります。

  • 類似見積り法
    過去に開発した類似のシステムの実績値から見積る方法。
  • 3点見積り法
    楽観値、最頻値、悲観値を見積り、それらの加重平均から見積る方法。
    加重平均 =(楽観値 + 最頻値×4 + 悲観値)/6
  • ボトムアップ見積り法
    WBSの最下位の作業項目を過去の実績より見積り、それらを加算して見積る方法。
  • ファンクションポイント法
    5つのインタフェース(外部入力・外部出力・内部論理ファイル・外部インタフェースファイル・外部参照)より見積る手法。

実績管理

実績把握

実績把握は作業日報により行います。これはプロジェクトの原価の中でももっとも比率が大きい人件費を、実績工数により把握するためです。

作業日報は、費用計画で定めた報告手順・頻度に従って収集します。チームリーダがメンバの作業日報をチェックし、プロジェクトマネージャはチームリーダから作業日報を入手します。

原価実績が把握できたら、計画と実績の差異を算出し原価差異報告書にまとめます。

実績評価

プロジェクト原価が把握できたら、その差異原因を分析し、状況の判断を行います。原価差異が大きい場合は、プラスでもマイナスでもその原因を調査することが重要です。

状況 対応
原価差異が小さい 何もしない
原価差異が大きい 原価超過 費用超過対策を行う
原価過少 進捗が遅れている可能性を考慮する

コスト超過対策

原因調査

コストが超過している場合は、その原因を究明する必要があります。

計画時の見積り過少に起因
  • WBS作成時に必要な作業を見落とした
  • 作業工数を少なく見積もっていた
  • 顧客との間の要件定義に不備があった
実行時のミスに起因
  • 上流工程の基本設計などの過程で設計ミスが発生した
  • 要員のスキルやマンパワーの不足
  • チェック機能が十分に働いていない
  • 開発環境の整備不良や障害
想定外の問題発生に起因
  • 顧客からの仕様変更の多発
  • 顧客から提供された資料の不備や矛盾

生産性向上

ソフトウェア開発においては、コストのほとんどが人件費であるため、コストの削減は生産性の向上と捉えることができます。

  • 開発環境を整備する、習熟した要員を確保する。
  • 開発済みのドキュメントやプログラムを再利用する。
  • 共通ルーチンの利用率を上げる。
  • 仕様変更の規模や回数を抑える。

 

IT
マネジメント、セキュリティ、ネットワーク、システム
散策路TOP
数学、応用数学、古典物理、量子力学、物性論、電子工学、IT、力学、電磁気学、熱・統計力学、連続体力学、解析学、代数学、幾何学、統計学、論理・基礎論、プラズマ物理、量子コンピュータ、情報・暗号、機械学習、金融・ゲーム理論

 

タイトルとURLをコピーしました