進捗管理とは、トレードオフの関係にある納期・コスト・品質をバランスよく保つための活動です。進捗管理は、進捗計画・実績評価・進捗遅延対策などから構成されます。
進捗計画
進捗計画は以下の手順で行われます。
WBSの作成
WBS(Work Breakdown Structure、作業分割構造図)は、進捗計画を作る前に作成され、プロジェクトでなすべき作業項目が記載されます。進捗計画システム(ソフトウェア)の開発工程は大まかには以下になります。
- 要件定義
システム化する範囲(スコープ)を決定する。 - 基本設計(外部設計)
ユーザから見える部分の仕様(画面・帳票など)を決定する。 - 詳細設計(内部設計)
ユーザから見えない部分の仕様(共通機能、各ツールのインタフェースなど)を決定する。 - プログラム設計・プログラム製造
各プログラムに必要な機能、モジュール、インタフェースなどを決定する。ソースコードを作成し、プログラムを完成させる。 - 単体テスト
単体のプログラムで期待した通りの動作をするかテストする。 - 結合テスト
複数のプログラムを組合せ期待した通りの動作をするかテストする。 - 総合テスト(システムテスト)
システムの全機能を最初から最後まで通し、期待した通りの動作をするかテストする。 - 運用テスト
実運用を想定して顧客目線で確認を行う。
日程計画の作成
日程計画には、大日程計画・中日程計画・小日程計画の3つがあります。
- 大日程計画
プロジェクトの全体計画で、WBSの上位層を基に作成します。最小の計画期間を3ヵ月~半年とします。 - 中日程計画
大日程計画の基づいて作成されます。最小の計画期間を1ヵ月程度とし、その各計画期間で何をするかを定義します。 - 小日程計画
中日程計画の基づいて作成されます。最小の計画期間を1週間~1日程度とし、その各計画期間で何をするかを定義します。
作業順序の検討
各作業項目に先行作業と後続作業の依存関係がある場合は、作業間の整合性を保つ必要があります。依存関係を確認するツールとして以下のものがあります。
- アローダイヤグラム
- PERT(Program Evaluation and Review Technique)
- ガントチャート
- マイルストーンチャート
進捗計画の留意点
進捗計画を立てる上での留意点は以下になります。
- 制約条件を確認する
プロジェクトの生産性に影響を与える制限で、予算額・要員数・納期などを考慮する必要があります。 - 余裕をもった計画を立てる、リスクのある作業は先に行う
予備期間を設ける、平行作業ができる部分を確認する、前倒しできる作業を先に行うなど。 - クリティカルパスを意識する
クリティカルパスは最終的な納期に直結するため、クリティカルパスを中心とした作業配置を行います。 - 作業実績の把握方法を決めておく
管理指標項目、日報または週報などの実績収集方法、収集頻度、進捗率の計算方法、進捗状況の評価を予め作成します。 - 計画をステークホルダで共有する
実績評価
進捗実績の把握は、メンバからの報告によって行い、成果物とチェックをして検証することが重要です。予定と実績の差異および進捗率を計算し、作業進捗管理表を作成します。
作業進捗管理表では、一例として、縦軸に作業項目をとり、横軸に作業着手日と作業完了日の予定・実績・差異を記載します。
進捗の遅延が発覚した場合は、問題点・原因・対策を調査および検討します。尚、進捗の遅延があっても、クリティカルパス上の作業でなければ何もしなくてよい場合もあります。
進捗遅延対策
遅延の原因
よくある遅延の原因には以下のものがあります。
- 作業工数の見積り誤り
- 分析ミス・設計ミス
- 開発環境の整備不良
- メンバの病欠や退職
- 仕様変更の多発
- 調達品の納期遅れ
遅延対策
進徳遅延対策として以下のものがあります。
- 作業順序の組換え、並行作業の実施
進捗遅延が発生している作業を後回しにし、できる作業を作業に行う。複数の作業を並行して進める。 - 担当者の組換え、追加要員の投入
進捗が遅延している作業の担当者を、他の者に変更する。外部から要員を調達し、遅延している作業を担当させる。 - 開発環境の整備
開発支援ツールの導入や開発環境の増設などを検討する。それに伴い、準備期間を設定する。 - 機能・仕様の削減
- 本番稼働の延期、部分的な稼働
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