ガンマ行列とは

/場の量子論

ガンマ行列の定義

ガンマ行列とは、ディラック場の表記に用いられる行列で、以下の反交換関係を持ち(μ=0,1,2,3)、

[γμ,γν]+=2gμν  

gμν=(1111)

次のエルミート性の条件を満たします。

γμ=γ0γμγ0  

5番目の反交換行列 γ5 は次のように定義されます。

γ5iγ0γ1γ2γ3  

下付き添字のガンマ行列は以下で定義されます。

γμgμνγν  γ5i4!ϵμνσργμγνγσγρ  

ϵμνσρレヴィ=チヴィタ記号で、添え字が (1,2,3,4) の偶置換であれば +1 、奇置換であれば 1 、2つ以上の添え字が共通であれば 0 になります。

ガンマ行列の性質

ガンマ行列は以下のような性質を持ちます。(i=1,2,3

  1. (γ0)2=1
  2. (γ1)2=(γ2)2=(γ3)2=1
  3. (γ5)2=1
  4. γμγν=γνγμ (μν)
  5. γ0=γ0
  6. γi=γi
  7. γ5=γ5
  8. γ0=γ0
  9. γi=γi
  10. γ5=γ5
  11. [γμ,γ5]+=0
導出

[1の導出]
①より、[γ0,γ0]+=γ0γ0+γ0γ0=2(γ0)2=2g00=2

[2の導出]
①より、[γi,γi]+=γiγi+γiγi=2(γi)2=2gii=2

[5の導出]
②と性質1より、γ0=γ0γ0γ0=γ0

[6の導出]
②と性質4、1より、γi=γ0γiγ0=γiγ0γ0=γi

[7の導出]
②と性質1、4より、γ5=iγ0(γ0γ1γ2γ3)γ0=iγ1γ2γ3γ0=iγ0γ1γ2γ3

[8の導出]
④と①より、γ0=g0νγν=g00γ0=γ0

[9の導出]
④と①より、γi=giνγi=giiγi=γi

[10の導出]
⑤の右辺の項は、(0,1,2,3) からの偶置換なら正符号、奇置換なら負符号であるため、元の (0,1,2,3) の並びに戻すと全て正符号になるため、
γ5=i24(γ0γ1γ2γ3γ0γ1γ3γ2γ0γ2γ1γ3+)=i2424γ0γ1γ2γ3=γ5

[11の導出]
μ=1 の場合で計算すると以下になり、μ=0,2,3 の場合も同様の結果になります。
[γ1,γ5]+=iγ1γ0γ1γ2γ3+iγ0γ1γ2γ3γ1=iγ0γ1γ1γ2γ3+iγ0γ1γ1γ2γ3=0

縮約の公式

①より、ガンマ行列は以下の縮約の公式が成り立ちます。

  1. γμγμ=4
  2. γμγαγμ=2γα
  3. γμγαγβγμ=4gαβ
  4. γμγαγβγσγμ=2γσγβγα
  5. γμγαγβγσγργμ=2(γσγβγαγρ+γργαγβγσ)
導出

[1の導出]
④と①より、
γμγμ=gμνγνγμ=(γ0)2(γ1)2(γ2)2(γ3)2=4

[2の導出]
①と1より、
γμγαγμ=γμ(γμγα+2gαμ)=4γα+2γα=2γα

[3の導出]
①と2より、
γμγαγβγμ=γμγα(γμγβ+2gβμ)=2γαγβ+2γβγα=4gαβ

[4の導出]
①と3を使い、最後は γσγβγα の並びになるように繰返し置換すると、
γμγαγβγσγμ=γμγαγβ(γμγσ+2gσμ)=4gαβγσ+2γσγαγβ=2γσγβγα

[5の導出]
①と4より、
γμγαγβγσγργμ=γμγαγβγσ(γμγρ+gρμ)=2γσγβγαγρ+2γργαγβγσ

ディラック表記

ガンマ行列は、ディラック方程式が導かれる過程で導入されました。ディラック表記のガンマ行列は、以下のような4×4の行列で表されます。

γ0β=(I00I)γiβαi=(0σiσi0)

γ5=i(0σ1σ2σ3σ1σ2σ30)=(0II0)

αiβ は以下で定義されます。

β=(σ000σ0) , αi=(0σiσi0)σ0=I=(1001) , σ1=(0110)σ2=(0ii0) , σ3=(1001)

σi はパウリ行列で以下の性質を持ちます(i=1,2,3)。

σ02=σi2=1[σi,σj]=2iσkσiσj=σjσi=iσk

 

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