ガンマ関数
ガンマ関数とは、階乗 $n!$ の概念を複素数全体に拡張した特殊関数です。ガンマ関数 $\Gamma(s)$ は、次の式で定義されます。
$$\Gamma(s)\equiv\int_0^\infty e^{-x}x^{s-1}dx (s\gt0) -①$$
定義より(③の導出)、
$$\Gamma(1)=\int_0^\infty e^{-x}dx=1 -②$$$$\Gamma(s)=(s-1)\Gamma(s-1) (s\gt1) -③$$
このとき、$s$ を正の整数 $n$ とすると、②と③より、階乗をガンマ関数で表すことができます。
$$\Gamma(n)=(n-1)! -④$$
その他、ガンマ関数では以下の関係が成り立ちます(⑤の導出)(⑥の導出)。
$$\Gamma\Big(\frac{1}{2}\Big)=\sqrt{\pi} -⑤$$
$$\Gamma\Big(n+\frac{1}{2}\Big)=\frac{(2n-1)!!\sqrt{\pi}}{2^n} -⑥$$
式の導出
③を導く
①について部分積分を行うと、
$$\int_0^\infty e^{-x}x^{s-1}dx=\Big[-e^{-x}x^{s-1}\Big]_0^\infty+(s-1)\int_0^\infty e^{-x}x^{s-2}dx$$
第1項については、$s\gt0$ ならば $x=0$ で0となり、また、
$$\lim_{x\to\infty}e^{-x}x^{s-1}=0$$
より、$x=\infty$ でも0となるため第2項が残ります。従って、③が得られます。
$$(s-1)\int_0^\infty e^{-x}x^{s-2}dx=(s-1)\Gamma(s-1)$$
⑤を導く
⑤の左辺について、$x=\xi^2$ 、$dx=2\xi d\xi$ と置くと、
$$\Gamma\Big(\frac{1}{2}\Big)=\int_0^\infty e^{-x}x^{-1/2}dx=2\int_0^\infty e^{-\xi^2}d\xi -(1)$$
一方、$e^{-(x^2+y^2)}$ の $x\ge0$ 、$y\ge0$ での積分を考えます。これを極座標 $(r,\theta)$ に置き換えると、$dxdy=rdrd\theta$ より、
$$\int_0^\infty e^{-(x^2+y^2)}dxdy=\int_0^{\pi/2}d\theta\int_0^\infty e^{-r^2}rdr$$$$=\frac{\pi}{2}\Big[-\frac{e^{-r^2}}{2}\Big]_0^\infty=\frac{\pi}{4} -(2)$$
(2)の左辺は(1)の2乗になるため、
$$\int_0^\infty e^{-(x^2+y^2)}dxdy=\Big(\int_0^\infty e^{-x^2}dx\Big)^2=\left(\frac{1}{2}\Gamma\Big(\frac{1}{2}\Big)\right)^2$$
(2)の右辺より、⑤が得られることが分かります。
⑥を導く
⑥の左辺より、
$$\Gamma\Big(n+\frac{1}{2}\Big)=\Big(n-\frac{1}{2}\Big)\Gamma\Big(n-\frac{1}{2}\Big)$$$$=\Big(n-\frac{1}{2}\Big)\Big(n-\frac{3}{2}\Big)\Gamma\Big(n-\frac{3}{2}\Big)=\frac{2n-1}{2}\frac{2n-3}{2}\cdots\frac{1}{2}\Gamma\Big(\frac{1}{2}\Big)$$$$=\frac{(2n-1)(2n-3)\cdots3\cdot1}{2^n}\sqrt{\pi}$$
最後は⑤を使っています。これより、⑥の右辺が導かれます。