雇用保険とは

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概要

雇用保険とは、労働者が失業した場合および雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、職業に関する教育訓練を受けた場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活および雇用の安定を図ることを目的とした保険です。

雇用保険は、大きく以下の5つに分類されます

失業
給付
求職者給付 失業者が求職活動をする間の生活の安定を図る
※基本手当、技能習得給付、傷病手当、高年齢求職者給付金等
就職促進給付 失業者の再就職を援助・促進する
※再就職手当、就業促進定着手当、就業手当、常用就職支度手当
教育訓練給付 労働者の能力開発を援助し、雇用の安定と再就職の促進する
※教育訓練給付金
雇用継続給付 高齢者や女性、家族の介護をする者の職業生活を援助・促進する
※高齢者雇用継続給付、介護休業給付等
育児休業給付 子の出生後または原則1歳未満の子を養育する場合に支給
被保険者

労働者を1人でも雇用する事業者は、原則として雇用保険に参加する必要があります。被保険者は、1週間の所定労働時間が20時間以上であり、同一の事業主に継続して31日以上の雇用が見込まれる者が対象になります。被保険者は以下に分類されます。

  • 一般被保険者
  • 高齢者被保険者
  • 短期雇用特例被保険者
  • 日雇労働被保険者

保険料

保険料は、賃金支払総額に対して、被保険者と事業主が業種に応じた割合で負担します。賃金支払総額には、交通費や時間外手当など全ての報酬が該当します。

保険料 = 賃金支払総額 × 保険料率

令和5年4月1日から令和6年3月31日までの雇用保険料率は以下になります。

  • 失業等給付等の保険料率は、労働者負担・事業主負担ともに 6/1000 です。
    (農林水産・清酒製造の事業及び建設の事業は 7/1000)
  • 雇用保険二事業の保険料率(事業主のみ負担)は 3.5/1000 です。
    (建設の事業は 4.5/1000)
事業の種類 労働者負担① 事業主負担② 保険料率①+②
失業等給付
育児休業給付
雇用保険二事業
一般事業 6/1000 6/1000 3.5/1000 15.5/1000
農林水産 7/1000 7/1000 3.5/1000 17.5/1000
建設の事業 7/1000 7/1000 4.5/1000 18.5/1000

厚生労働省ホームページ

求職者給付(基本手当)

基本手当は、雇用保険の被保険者が、定年、倒産、契約期間の満了等により離職した場合に支給されます。基本手当の所定給付日数は、受給資格に係る離職の日における年齢、雇用保険の被保険者であった期間、および離職の理由などにより 90日~360日の間で決定されます。

ハローワークホームページ(基本手当)

受給資格

雇用保険の被保険者が離職して、以下のいずれにも当てはまるときは、一般被保険者について基本手当が支給されます。

  • ハローワークで求職の申込みを行い、就職の積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにも関わらず、職業に就くことができない失業の状態にある場合。

  • 離職の日以前の2年間に、被保険者期間が通算して12ヵ月以上ある場合。
    但し、特定理由離職者および特定受給資格者に該当する場合は、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6ヵ月以上ある場合。

尚、被保険者期間は、被保険者であった期間を離職に日から遡って1ヵ月毎に区切り(喪失応当日)、区切られた1ヵ月の期間に賃金の支払基礎となる日数が11日以上ある月を1ヵ月として計算します。

受給期間

受給期間は、原則として、離職した日の翌日から1年間ですが、その間に病気やけが、妊娠などの理由により30日以上働くことができなくなった場合は、その日数だけ受給期間を延長することができます。但し、延長できる期間は最長で3年間となっています。

尚、所定給付日数が330日の場合の受給期間は1年+30日、延長は最大限3年-30日、所定給付日数が360日の場合の受給期間は1年+60日、延長は最大限3年-30日となります。

支給額

1日当たりの支給額(基本手当日額)は、原則として離職した日の直前の6か月の賃金(賞与を除く)の合計を180で割って算出した金額(賃金日額)の約50~80%(60歳~64歳は45~80%)となります。基本手当日額の上限額は年齢区分毎に定められています。

~30歳未満 6,945円
30歳以上~45歳未満 7,715円
45歳以上~60歳未満 8,490円
60歳以上~65歳未満 7,294円

就職促進給付

就職促進給付とは、失業した労働者が安定した職業に就くことを支援するための給付です。就職促進給付には、再就職手当、就業促進定着手当、就業手当などがあります。

ハローワークホームページ(就職促進給付)

再就職手当

再就職手当は、基本手当の受給資格がある者が安定した職業に就いた場合に、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あり、一定の要件に該当する場合に支給されます。

  • 基本手当の支給残日数が所定給付日数の 2/3以上
    支給額 = 所定給付日数の支給残日数 × 70% × 基本手当日額
  • 基本手当の支給残日数が所定給付日数の 1/3以上
    支給額 = 所定給付日数の支給残日数 × 60% × 基本手当日額

但し、基本手当日額の上限は、6,290円(60歳以上65歳未満は 5,085円)です。

就業促進定着手当

就業促進定着手当は、再就職手当の支給を受けた者が、再就職先(②)に6か月以上雇用され、かつその6か月の間に支払われた賃金の1日分の額が、雇用保険の給付を受ける前(①)の賃金の1日分の額(賃金日額)に比べて低下している場合に給付されます。

支給額 =(①の賃金日額 - ②の賃金日額)× ②の6か月間内での労働の日数

但し、一定の上限額があります。

就業手当

就業手当は、基本手当の受給資格がある者が、再就職手当の支給対象とならない常用雇用等以外で就業した場合に、基本手当の支給残日数が所定給付日数の 1/3以上かつ 45日以上あり、一定の要件に該当する場合に支給されます。

支給額 = 就業日 × 30% × 基本手当日額

但し、1日当たりの支給額の上限は、1,887円(60歳以上65歳未満は1,525円)です。

常用就職支度手当

常用就職支度手当は、基本手当の受給資格がある者(基本手当の支給残日数が所定給付日数の1/3未満)、高年齢受給資格者、特例受給資格者または日雇受給資格者のうち、障害のある方など就職が困難な方が安定した職業に就いた場合に支給されます。

支給額 = 支給残日数 × 40% × 基本手当日額

支給残日数は上限が90日、下限が45日です。基本手当日額の上限は 6,290円(60歳以上65歳未満は 5,085円)となります。

教育訓練給付

教育訓練給付制度とは、労働者の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的として、厚生労働大臣が指定する教育訓練の受講費用の一部が支給されるものです。給付金の対象となる教育訓練は以下の3種類があります。

  • 専門実践教育訓練
    受講費用の50%(年間上限40万円)が訓練受講中6か月ごとに支給されます。1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、受講費用の20%(年間上限16万円)が追加で支給されます。
  • 特定一般教育訓練
    受講費用の40%(上限20万円)が訓練修了後に支給されます。
  • 一般教育訓練
    受講費用の20%(上限10万円)が訓練修了後に支給されます。

ハローワークホームページ(教育訓練給付制度)

雇用継続給付

ハローワークホームページ(雇用継続給付)

高年齢雇用継続給付

高年齢雇用継続給付は、雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の一般被保険者が、原則として60歳以降の賃金が60歳時点に比べて、75%未満に低下した状態で働き続ける場合に支給されます。

  • 高年齢雇用継続基本給付金
  • 高年齢再就職給付金(60歳以後再就職した場合)

支給額は、60歳時点の賃金に比べた60歳以上65歳未満の各月の賃金の低下の程度により、以下のように定められています。但し、各月の賃金が370,452円を超える場合は支給されません。

  • 61%以下に低下した場合は、各月の賃金の15%相当額
  • 61%超75%未満に低下した場合は、各月の賃金の15%相当額未満の額

支給期間は、被保険者が60歳に達した月から65歳に達する月までです。但し、60歳時点において、雇用保険の加入期間が5年に満たない場合は、加入期間が5年となった月から支給期間となります。

介護休業給付

介護休業球は、家族を介護するための休業をした一般被保険者と高年齢被保険者で、以下の要件を満たす場合に支給されます。

  • 介護休業開始日前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上ある場合
  • 介護休業期間中の各1ヵ月について休業開始前の賃金の8割以上が支払われていない場合
  • 就業している日数が1ヵ月当たり10日以下である場合

1ヵ月の支給額は以下になります。

支給額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%

尚、支給日数は30日として計算しますが、休業終了日の属する月については支給対象の日数となります。賃金日額は、介護休業開始前6か月間の賃金を180で除した額(上限は509,400円)です。

育児休業給付

育児休業給付は、以下を取得し、一定の要件を満たした場合に支給を受けることができます。

  • 出生時育児休業
    子の出生後8週間の期間内に合計28日を限度、2回まで分割取得可
  • 育児休業
    原則1歳未満の子を養育、2回まで分割取得可

厚生労働省ホームページ(育児休業給付)

 

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