六波羅蜜
波羅蜜(はらみつ)とは、仏教において迷いの世界から悟りの世界へ至ることで、そのための菩薩が行う修行を指します。六波羅蜜は、大乗仏教における修行をまとめたもので、布施・持戒・忍辱・精進・禅定・般若の6つを指します。
布施(ふせ)
布施(檀那:だんな)とは分け与えることで、見返りを求めず、他人に財物などを施したり、相手の利益になるよう教えを説くことです。布施は物質だけではなく、次のような種類があります。
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持戒(じかい)
持戒(尸羅:しら)とは戒律を守ることで、特に在家信者が守るべき基本的な戒律は五戒と呼ばれています。
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また、初段階の僧には、五戒に以下の5つを含めた十戒が課せられます。
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忍辱(にんにく)
忍辱(忍耐)とは、苦難に耐え忍ぶことで、人から理不尽なことをされても、仕返しをしたり、逃げたりしないことを指します。
精進(しょうじん)
精進(毘梨耶:びりや)とは、たゆまず仏道を実践し、誠心誠意努力することです。語源である「ヴィーリャ」は一般的に「勤勉」と訳されます。
禅定(ぜんじょう)
禅定(禅那:ぜんな)とは、瞑想により特定の対象に心を集中して、心を安定させることで、精神が統一された状態を三昧(サマーディ)と呼びます。禅定の段階は色界と無色界の大きく分かれます。
- 色界
- 初禅
- 第二禅
- 第三禅
- 第四禅
- 無色界
- 空無辺処
- 識無辺処
- 無所有処
- 非想非非想処
色界とは、欲望を離れた清浄な物質の世界で、禅定が進むにつれて、初禅・第二禅・第三禅・第四禅の4つの段階があります。第四禅は不苦不楽の状態とされており、さらに禅定が進むと無色界に入ります。
無色界とは、欲望や物質的制約を超越した精神的な世界で、4つの段階があります。最終段階の非想非非想処(ひそうひひそうしょ)は、全ての世界の中で最上の場所とされており、有頂天とも呼ばれます。
般若(はんにゃ)
般若とは、真実の道理を見抜く深い智慧のことで、貪(とん)・瞋(じん)・癡(ち)の三毒から離れ、どちらにも偏らない中道を歩むことです。般若は、大乗仏教においては「空」とも解釈されます。般若には次の4つに分けられます。
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十波羅蜜
十波羅蜜とは、六波羅蜜に次の方便・願・力・智の4つを追加したものです。方便とは説法で衆生を導くこと、願とは涅槃の境地への到達を立願することを指します。
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