LAN
LAN(Local Area Network)とは、比較的限られた範囲のコンピュータなどの情報機器が接続されたネットワークであり、データリンク層の通信を行うためのプロトコルです。
通信レイヤ
通信レイヤ(OSI参照モデル)とプロトコルの関係は以下になります。
レイヤ | プロトコル | データ単位 | |
L4 | トランスポート僧 | TCP/UDP | セグメント=トランスポートヘッダ+データ |
L3 | ネットワーク層 | IP | IPパケット=IPヘッダ+セグメント |
L2 | データリンク層 | LAN | フレーム=MACアドレス+IPパケット |
L1 | 物理層 | LAN | - |
データリンク層の「データリンク」とは、隣接する機器(ノード)との間に作る論理的な伝送路です。データリンク層では、ビットが欠けていないかを判断するためにカプセル化処理(フレーム化)を行い、物理層の信頼性を確保します。
ネットワーク機器
ネットワーク機器と通信レイヤの関係は以下になります。
レイヤ | ネットワーク機器 | 機能 |
L4 | L4スイッチ | 負荷分散 |
L3 | L3スイッチ ルータ |
ブロードキャストドメインの分割 ※ブロードキャストドメイン:ブロードキャストフレームが届く範囲 |
L2 | L2スイッチ ブリッジ |
コリジョンドメインの分割 ※コリジョンドメイン:フレーム衝突が起こる範囲 |
L1 | リピータ、ハブ | 電気信号の増幅 |
1つのLANは、1つのブロードキャストドメインであり、IPプロトコルの1つのネットワークアドレス(L3スイッチの1ポート)に相当します。尚、ブロードキャストドメインを分割する技術は、VLAN(Virtual LAN)と呼ばれています。
イーサネット
イーサネット(IEEE802.3、CSMA/CD方式)とは、現在最も普及しているLANの規格です。以前はトークンリングやフレームリレー、FDDIなどが複数乱立していましたが、今ではあまり見ることはありません。
尚、CSMA/CDはフレームの衝突を回避するための方式でが、L2スイッチとツイストペア(UTP)ケーブルの登場により、衝突の制御が不要になったため、10Gイーサネットの規格からは外されました。
フレーム構成
イーサネットのフレームの構成は、先頭から以下のようになります。
名称 | バイト数 | 内容 |
プリアンプル | 8 | フレーム送信の合図 |
宛先MACアドレス | 6 | 上位24ビット:ベンダーコード 下位24ビット:ノード番号 |
送信元MACアドレス | 6 | |
タイプ | 2 | 0x0800:IPv4 0x0806:ARP 0x86DD:IPv6 0x8100:Tagged VLAN |
データ | 46~1500 | IPパケット |
FCS | 4 | チェックサムによりデータが壊れていないか確認(Frame Check Sequence) |
フレームタイプ
イーサネットは、通信パターンによって3つのフレームタイプに分類されます。
ユニキャスト | 相手ノードのMACアドレスを設定した1:1の通信。 |
ブロードキャスト | MACアドレスに「FF-FF-FF-FF-FF-FF」を設定した、ブロードキャストドメイン内の全てのノードに対する通信。 |
マルチキャスト | MACアドレスの上位25ビットが「01-00-5E-1」(最後は1ビット)で、下位23ビットはマルチキャストIPアドレス(224.0.0.0~239.255.255.255)の下から23ビットを設定。特定のグループ(マルチキャストグループ)のノードのみが受信。 |
VLAN
VLAN(Virtual LAN)とは、L2スイッチ(ブロードキャストドメイン)を仮想的に分割する技術で、ネットワーク利用の効率化やセキュリティの向上を目的としています。
VLANの特長
VLANのメリットは以下の点が挙げられます。適切な設計と運用により、効率的かつ安全なネットワーク環境の構築が可能となります。
- 直接通信できる範囲の制限
不正な通信やマルウェアの感染が発生した場合でも、その影響範囲や感染による被害を最小限に抑えることができます。 - ブロードキャストトラフィックの制限
ブロードキャスト通信の範囲が限定されるため、ネットワークのトラフィック量を減少させることができます。 - 異なるセキュリティポリシの適用
組織の部署ごとに異なるセキュリティポリシが適用される場合、部署ごとに適切なセキュリティ対策を行えるようになります。
VLANの種類
VLANには以下のような種類があり、導入の目的や期待する効果などによって方式が選択されます。
- ポートベースVLAN
L2スイッチのポート単位でVLANを割り当てる方式で、VLANの中では最もシンプルな方式であることから広く採用されています。 - タグベースVLAN
データの転送単位であるフレームにタグを付ける方式で、同じポートのフレームを別のVLANに割り当てたり、複数のポートやスイッチを跨いでフレームを同じVLANに割り当てることが可能になります。 - MACベースVLAN
デバイスのMACアドレスによってVLANを割り当てる方式で、デバイス毎にアクセスできるネットワークを制限することができます。 - ユーザベースVLAN
ユーザ(ネットワークの利用者)の認証情報によってVLANを割り当てる方式で、ユーザ毎にアクセスできるネットワークを制限することができます。 - サブネットベースVLAN
デバイスのIPアドレスのサブネットによってVLANを割り当てる方式です。